Amazon Bedrockは、複数の大手AI企業の基盤モデル(Foundation Models)を統合的に利用できるフルマネージドサービスです。そのため、Bedrockと完全に互換性のある単一のオープンソースソフトウェア(OSS)は存在しません。
しかし、Bedrockの機能の一部を代替・連携できるOSSはいくつか存在します。以下に、Bedrockの主要な機能(モデルの呼び出し、LLMアプリケーション開発、エージェント構築など)に対応するOSSをいくつかご紹介します。
1. LiteLLM:LLMの呼び出しを抽象化するOSS
LiteLLMは、様々なLLMプロバイダー(OpenAI, Anthropic, AWS Bedrock, Google Vertex AIなど)のAPIを統一的なインターフェースで呼び出すためのライブラリです。このOSSを利用することで、アプリケーションのコードを変更することなく、Bedrockのモデルと他のOSSモデルや商用モデルを簡単に切り替えることができます。
2. LLMアプリケーション開発フレームワーク
LangChain
LangChainは、LLMを活用したアプリケーション開発を効率化するためのフレームワークです。BedrockのモデルをLangChainのコンポーネントとして組み込むことができ、RAG(Retrieval-Augmented Generation)、プロンプトのオーケストレーション、エージェントの構築などを簡単に行えます。LangChain自体はオープンソースであり、様々なOSSモデルと連携可能です。
LlamaIndex
LlamaIndexは、独自のデータ(PDF、ドキュメントなど)をLLMに接続してRAGアプリケーションを構築するためのフレームワークです。Bedrockのモデルをバックエンドとして利用できるため、BedrockのモデルとLlamaIndexの強力なデータ処理機能を組み合わせて、高度な検索・応答システムを構築できます。
3. Langfuse:モデル管理・評価・観測ツール
Langfuseは、LLMアプリケーションの観測(オブザーバビリティ)と評価を行うためのツールです。LangChainと連携して、プロンプトの使用状況、応答のレイテンシー、コストなどを追跡・分析できます。LangfuseはOSSとしてセルフホストが可能であり、Bedrockを利用する際のアプリケーションの改善に役立ちます。
4. Bedrockの代替となるオープンソースモデル
Bedrockは様々なモデルを統合していますが、これらのモデルの中にはオープンソースのモデルも含まれています。Bedrockの代わりに、これらのモデルを自身でホストして利用することも可能です。
- Meta Llama 3
- Mistral AI
- Cohere Command R
これらのOSSモデルを自社のインフラ(例:EC2やSageMaker)でホストし、アプリケーションから直接呼び出すことで、Bedrockの代替とすることができます。ただし、モデルのデプロイ、スケーリング、セキュリティ、メンテナンスなどはすべて自社で行う必要があります。
まとめ
Amazon Bedrockと「完全に互換性がある」というOSSはありませんが、Bedrockの機能を補完・代替するOSSは多数存在します。BedrockのAPIを抽象化するライブラリ(LiteLLM)や、LLMアプリケーション開発を支援するフレームワーク(LangChain, LlamaIndex)、オープンソースの基盤モデルを利用することで、Bedrockの代替となるシステムを構築することが可能です。
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