IPD(瞳孔間距離)の測定は、VRヘッドセットの設定やメガネの作成において非常に重要です。
方法を間違えると「近用PD(近くを見る時の距離)」になってしまい、必要な「遠用PD(遠くを見る時の距離=VRや日常用)」よりも2〜3mm短く測れてしまうミスがよく起こります。
最も簡単で正確な「アプリを使う方法」と、道具だけでできる「鏡と定規を使う方法」の2通りを紹介します。
方法1:スマホアプリで測る(最も推奨)
iPhoneやAndroidの深度センサーやカメラを使うのが最も手軽で、定規での自力測定よりも正確なことが多いです。
- iPhoneの方: 「EyeMeasure」という無料アプリが定番で非常に高精度です。
- Androidの方: 「GlassesOn」や「Pupillary Distance Measure」などのアプリで測定可能です。
方法2:鏡と定規で測る(セルフ測定)
アプリが使えない場合は、定規と鏡を使います。
※注意: 単に鏡を見て測ると、目が寄り目(輻輳)になって数値が小さくなってしまいます。必ず以下の「ウィンク法」で行ってください。
【手順】
- 鏡の前に20〜30cmくらいの距離で立ちます。
- 定規を**おでこ(眉毛の上あたり)**に当てて固定します。
- 【右目を閉じて】、左目だけで鏡の中の「自分の左目の瞳孔(黒目の中心)」を見ます。
- その状態で、定規の「0」の目盛りを左目の瞳孔の中心に合わせます。
- 定規を絶対に動かさないようにして、次は左目を閉じ、【右目を開けます】。
- 右目だけで鏡の中の「自分の右目の瞳孔」を見ます。
- その時、右目の瞳孔の中心に来ている目盛りを読み取ります。それがあなたのIPD(遠用)です。
ポイント:
片目ずつ正面(鏡の中の自分の目)を見ることで、視線が平行に近い状態になり、正しい「遠用PD」が測れます。
方法3:他人に測ってもらう(精度が高い)
家族や友人がいる場合は、この方法が一番確実です。
- あなたは、測定してくれる人の頭越しに、**遠くの壁や窓の外(3メートル以上先)**をぼんやりと見つめます。
- 重要: 測定してくれる人の顔や定規を見てはいけません(寄り目になります)。
- 測定者は、あなたの目の前に定規を当て、黒目の中心間の距離を測ります。
補足:VRヘッドセットのための調整なら
数値を知ることも大切ですが、最終的には**「実機での見え方」**が正解です。
- VR内で文字が表示される画面を開きます。
- 片目をつぶり、文字が一番くっきり見えるようにヘッドセットの位置を微調整します。
- もう片方の目も同様にします。
- 最後にIPD調整ノブ(またはスライダー)を動かし、両目ともクリアに見える場所を探します。
もし測定値が「64mm」だとしても、VR体験で違和感がある場合は、そこから±1〜2mm動かして自分が一番楽な位置に合わせてください。


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