食品添加物の専門家である中村幹雄氏と安部司氏が、「糖質ゼロ・カロリーゼロ」を謳う食品に多く含まれる人工甘味料と、近年摂取量が増加している高果糖液糖(果糖の含有率が90%以上の液状の糖)の危険性について対談しいる動画を見て纏めました。
人工甘味料の種類
日本で使用が許可されている人工甘味料は以下の6種類です。
- アスパルテーム
砂糖の200倍の甘さ。フェニルケトン尿症患者に注意が必要。 - アセスルファムカリウム
砂糖の200倍。加熱に強く、生成過程で発がん性物質の混入リスクが指摘。 - スクラロース
砂糖の600倍。加熱時に有害物質が生成される可能性。 - サッカリン
砂糖の500倍。過去に発がん性が疑われたが、不純物が原因と判明。 - ネオテーム
砂糖の1万倍以上。アスパルテームの改良版。 - アドバンテーム
砂糖の1.4万~4.8万倍。苦味が少ない。
人工甘味料について
現在、主な人工甘味料としてスクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウムの3つが挙げられています。これらはまとめて非糖質甘味料(NSS)とも呼ばれます。
ヨーロッパ(フランス、イギリスなど)やアメリカで行われた10年間、10万人を対象とした大規模な疫学研究の結果、人工甘味料の摂取が疾病リスクや発がんリスクを高める可能性が示唆されました。これは、許容一日摂取量(ADI)よりもはるかに少ない量であっても確認されたとのことです。この結果を受け、WHOは2023年5月28日に方針を180度転換し、これまで推奨してきた「砂糖を減らし、その代わりに人工甘味料を摂取する」という考え方を改め、「砂糖を減らすなら、人工甘味料に置き換えるのではなく、砂糖を減らすだけにするべきだ」という見解を示しました。これは、人工甘味料の摂取量が以前に比べて非常に多くなっていることが理由の一つです。
スクラロース
砂糖に塩素を反応させて作られ、砂糖に近い甘味を持つため、砂糖の代替として様々な食品に使われています。砂糖の数百倍の甘さがあり、コストダウンの目的で使用されることが多いです。熱に弱く、高温で加熱すると塩素化合物が生成される可能性があります。
熱に弱い為にお菓子、特にクッキーなど焼き菓子でオーブンで200℃で焼いても科学的に問題ないのかをメーカは確認すべきである。
アセスルファムカリウム
分解されにくいため、環境汚染のリスクが指摘されています。河川などから検出された事例も報告されています。コーヒー飲料などによく使われ、他の人工甘味料と組み合わせることで、より砂糖に近い甘味を出すことができます。
高果糖液糖について
- 近年、ペットボトル飲料などで使用されている糖類が、以前の「ブドウ糖果糖液糖」から果糖の割合が高い「果糖ブドウ糖液糖」に変化しています。これは、原料の品種改良や製造方法の変化によるものです。以前はブドウ糖と果糖の割合がほぼ50%でしたが、現在では果糖が90%近くを占める製品も存在します。
- 近年の研究で、果糖の過剰摂取が非アルコール性脂肪肝のリスク上昇や、がん細胞の増殖に関わる可能性が示唆されています。
- 従来は糖尿病患者にとってインスリンを使わない甘味料として認識されていた時期もありましたが、現在では体内でブドウ糖に変わるため、糖分の過剰摂取になるという認識に変わっています。
果糖(かとう)とブドウ糖(ぶどうとう)に関して
- 砂糖(お砂糖)は、果糖とブドウ糖が結合したものです。
- かつて、果糖は安全性に問題がないと考えられていましたが、近年、そうではない可能性が示唆されています。
- 砂糖として果糖とブドウ糖を摂取する場合、体内で2つに分かれてもバランスよく吸収されるため、問題は少ないとされています。
- 問題となるのは、ペットボトル飲料などに多く含まれるようになった果糖ブドウ糖液糖です。
- 以前は「ブドウ糖果糖液糖」と表示され、ブドウ糖と果糖の割合がほぼ50%でしたが、近年では原料の品種改良などにより、果糖の割合が90%近くにまで増加した「果糖ブドウ糖液糖」として販売されています。
- 果糖の過剰摂取は、様々な疾病を引き起こす可能性が近年分かってきており、研究が進められています。
- 具体的には、非アルコール性脂肪肝のリスク上昇や、がん細胞の増殖に関わる可能性が示唆されています(2024年12月にネイチャー誌で発表)。また、がん細胞への果糖の選択的な輸送を促進する機構(GLUT5)も確認されています。
- 約50年前には、デンプンからブドウ糖と果糖の混合液を作る技術が開発されました。
- ブドウ糖の甘さは砂糖の約7割であるのに対し、果糖は砂糖の1.2~1.4倍甘いとされています。特に低温でより甘く感じられます。
- ブドウ糖と果糖を混合することで、砂糖のような甘味を持つ液体として利用できるため、飲料メーカーなどで広く使われるようになりました。砂糖を溶かす手間が省けるなどの利点があります。
- かつて、果糖は糖尿病患者にとってインスリンを使わない「魔法の甘み」として認識された時期がありましたが、現在では、体内でブドウ糖に変わるため、糖分の過剰摂取になるという認識に変わっています。
- 清涼飲料水、特にペットボトル飲料が子供や若者に広く受け入れられた理由の一つに、ブドウ糖と果糖の混合、あるいは果糖ブドウ糖液糖の甘さが挙げられます。砂糖だけでは甘すぎて飲みにくいものが、これらの糖によって飲みやすくなったと考えられます。
- 10年ほど前には、国連からも果糖の過剰摂取に対する警告が出されていました。
- 専門家は、従来のブドウ糖果糖液糖(果糖の割合が50%程度)であれば問題は少なかったかもしれないが、現在のように果糖の割合が極端に高い果糖ブドウ糖液糖の摂取が、子供や妊婦に与える影響を懸念しており、警鐘を鳴らしています。
人工甘味料のリスク
ソースの情報に基づき、人工甘味料のリスクをまとめます。
- ヨーロッパ(フランス、イギリスなど)やアメリカで行われた10年間、10万人を対象とした大規模な疫学研究の結果、人工甘味料の摂取が疾病リスクや発がんリスクを高める可能性が示唆されました。
- このリスクは、許容一日摂取量(ADI)よりもはるかに少ない量であっても確認されたとされています。
- この研究結果を受け、WHOは2023年5月28日に方針を180度転換し、これまで推奨してきた「砂糖を減らし、その代わりに人工甘味料を摂取する」という考え方を改めました。現在では、「砂糖を減らすなら、人工甘味料に置き換えるのではなく、砂糖を減らすだけにするべきだ」という見解を示しています。
- 人工甘味料の中でも特に、スクラロースは砂糖に塩素を反応させて作られるため、熱に弱く、パンなどを高温で焼く際に分解して塩素化合物(1,3-DCPや3-MCPDなどのクロロプロパノール類)が生成される可能性が指摘されています。食品メーカーがこの点を十分にチェックしているか懸念されています。
- アセスルファムカリウムは分解されにくいため、環境汚染のリスクが指摘されており、実際に河川などから検出された事例も報告されています。
- 複数の人工甘味料(アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム)を組み合わせて使用することが一般的ですが、その安全性については懸念が残ります.
食品業界の対応
- 食品業界は、**「糖質ゼロ・カロリーゼロ」**を謳う飲料を中心に、人工甘味料(スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウムなど)を幅広く利用してきました。
- 特にスクラロースは、砂糖に近い甘味を持ち、砂糖の数百倍の甘さがあるため、コストダウンの目的で砂糖の代替として卵焼きや惣菜など様々な食品に利用されています。
- 甘味をより砂糖に近づけるために、複数の人工甘味料を組み合わせて使用することが一般的です。例えば、アセスルファムカリウムの素早い甘味とスクラロースの遅い甘味を組み合わせることで、より自然な甘さに近づける工夫がされています。
- 飲料業界においては、以前はブドウ糖と果糖の割合がほぼ50%であったブドウ糖果糖液糖から、近年では果糖の割合が90%近くにまで増加した果糖ブドウ糖液糖へと移行しています。これは、原料の品種改良や製造技術の進歩によるものです。
- スクラロースの開発元のイギリスの会社は、各国で安全性試験を行い、日本でも認可を得るために安全性試験データを提出し、追加の毒性試験も実施しています。
食品業界の問題点
- WHOが人工甘味料の摂取に関する方針を180度転換し、リスクを示唆する研究結果が発表されているにもかかわらず、人工甘味料メーカーからの公式なコメントはなく、業界全体として積極的な対応が見られないと専門家は指摘しています。
- 人工甘味料の長期的な摂取による疾病リスクや発がんリスクの可能性が、大規模な疫学研究によって示唆されているにもかかわらず、依然として多くの食品に広く使用され続けています。特に、許容一日摂取量(ADI)よりもはるかに少ない量であってもリスクが高まる可能性が指摘されています。
- スクラロースは熱に弱く、高温で加熱すると分解して塩素化合物(1,3-DCP、3-MCPDなどのクロロプロパノール類)が生成される可能性がありますが、パンなどの食品を製造するメーカーが、これらの有害物質の生成を十分にチェックしているかについて懸念が示されています。特に、高温で焼くクッキーなどの焼き菓子はリスクが高い可能性が指摘されています。
- アセスルファムカリウムは分解されにくいため、環境中に残留しやすく、河川などからの検出事例も報告されており、環境汚染のリスクがあります。
- 果糖の割合が極端に高い果糖ブドウ糖液糖の過剰摂取は、非アルコール性脂肪肝のリスク上昇や、がん細胞の増殖に関わる可能性が近年の研究で示唆されています。特に成長期の子供や妊婦への影響が懸念されています。
- かつては糖尿病患者にとって良いとされた果糖の認識も変わり、現在では糖分の過剰摂取につながるという認識が一般的になっていますが、その情報が消費者に十分に伝わっているか疑問が残ります。
- 専門家は、人工甘味料や高果糖液糖のリスクについて、食品業界が消費者の安全のために、より積極的に情報開示し、対応を検討していくべきだと考えています。
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