骨盤底筋を鍛え切迫性尿失禁を緩和

健康

椎間板ヘルニアを患った際、骨盤底筋を鍛えることで症状が軽減するという話を聞き、骨盤底筋のストレッチを始めました。それから1年が経ちますが、ストレッチを始める以前は、耐え難い尿意に悩まされていました。しかし、最近になってふと気づいたのですが、そのような強い尿意を感じることがなくなっていました。

この経験から、骨盤底筋ストレッチはヘルニアの症状軽減だけでなく、切迫性尿失禁の改善にも非常に効果的であると感じています。

骨盤底筋を鍛えるメリット

骨盤底筋を鍛えることは、尿もれ改善・予防、腰痛の軽減、姿勢の改善、ぽっこりお腹の改善など、多くの効果を期待できます。
ここでは、骨盤底筋を鍛えることで得られる主なメリットをご紹介します。

尿もれの改善・予防

骨盤底筋を鍛えることは、尿もれの改善や予防につながります。
くしゃみや咳をしたとき、笑ったときなど、お腹に力が入ったときに尿もれする「腹圧性尿失禁」の原因は、骨盤底筋の衰えであると言われています。
膀胱や尿道を支える骨盤底筋は排尿のコントロールを担う重要な役割を果たしています。
骨盤底筋を鍛えることで尿道を締める力が強化され、尿もれの改善・予防効果を期待できます。

腰痛や姿勢の改善

骨盤底筋を鍛えることで、腰痛の軽減や姿勢の改善効果が期待できます。
腹筋や背筋とともに、体幹を支える筋肉のひとつである骨盤底筋を鍛えることは、骨盤の安定性を高めることにもつながります。
骨盤底筋が衰えてしまうと骨盤の位置が不安定になり、姿勢の崩れや腰痛につながるリスクも高まります。
骨盤底筋のトレーニングで骨盤を安定させることで、腰痛の軽減や猫背・反り腰といった姿勢の改善や腰痛の軽減も目指していきましょう。

ぽっこりお腹の改善

骨盤底筋を鍛えることは、ぽっこりお腹の改善にもつながります。
骨盤底筋は内臓を正しい位置で支える役割を担っており、骨盤底筋が衰えると内臓が下がってお腹がぽっこりする「内臓下垂」のリスクが高まると考えられています。
ぽっこりお腹が気になる方は、腹筋トレーニングに加えて骨盤底筋のトレーニングも実践し、骨盤の安定性から整えていきましょう。

切迫性尿失禁とは

切迫性尿失禁とは過活動膀胱の症状のひとつで、急に尿意をもよおして尿が漏れてしまう症状をさします。

過活動膀胱は、膀胱が過敏になっていることで膀胱に尿が十分に溜まっていない状態でも急に尿意をもよおしたり、頻繁にトイレに行きたくなったりする病気です。

尿失禁は、40歳以上の女性では4割以上もの方が経験している症状ですが、恥ずかしさから受診せずに我慢をしている方が多くいます。

腹圧性尿失禁との違い

切迫性尿失禁は急に尿意をもよおすのに対し、腹圧性尿失禁はおなかに強い力を入れた時に尿が漏れる症状です。

腹圧性の場合は、咳やくしゃみ、ジャンプをしたときなどに漏れてしまいます。原因は尿道周辺の筋肉や骨盤底筋の緩みで、出産を経験した女性に多く見られる症状です。

切迫性尿失禁の場合、神経の問題が原因として挙げられることや、咳やくしゃみなど何かの瞬間ではなく、急に尿意をもよおすことが腹圧性との大きな違いです。

効果的な骨盤底筋のトレーニング

骨盤底筋は身体の深層部にあるため鍛えづらい筋肉ですが、肛門や尿道を締めることを意識しながらトレーニングすることが効果的です。

骨盤底筋体操は、骨盤底筋を「締める」「緩める」を繰り返す体操です。尿を我慢する時のような感覚で、膣をギュッと締めます。膣や尿道、肛門を引き上げるようなイメージです。緩めるときには、力を抜いてリラックスしましょう。

この「締める」「緩める」を、10秒間隔で行います。10秒締めたら、10秒緩める動作を10回繰り返します。10回で1セットです。1日に朝1セット、夜1セット体操をすることを目標に続けてみましょう。
難しければ、5秒ずつ行っても構いません。

座ったままできるトレーニング

椅子に座った状態で行う骨盤底筋のトレーニングは、重力の影響を受けにくく骨盤底筋の動きを意識しやすいため、骨盤底筋のトレーニングを初めて行う方はまず座った姿勢で行うトレーニングから始めてみましょう。
仕事中やテレビを見ながらでも手軽に取り組めるため、忙しい方や運動が苦手な方、デスクワークで座っている時間が長い方にもおすすめです。

  • 椅子に深く座って両足を床につける。
    ※ひざは90度に曲げ、骨盤を真っすぐ立てる。
  • 肛門や尿道を「キュッ」と引き上げるようなイメージで骨盤底筋を締める。
    お尻やお腹の筋肉に力を入れないように注意しましょう。
  • 2の状態を約3秒間保ち、ゆっくりと力を抜く。
    ※呼吸を止めないように意識しましょう。
  • 2~3を10回繰り返す。

寝ながらできるトレーニング(仰向けのトレーニング)

仰向けの状態で行う骨盤底筋トレーニングは、身体への負担が少ないため、腰痛持ちの方やリハビリ中の方も無理なく取り組めるメニューです。
仰向けでリラックスした姿勢で取り組めるため、就寝前などに取り入れるといいでしょう。

  • 床やベッドに両ひざを立てた状態で仰向けに寝る。
    ※足は拳ひとつ分程度に開き、リラックスした姿勢を作りましょう。
  • 肛門や尿道を「キュッ」と引き上げるようなイメージで骨盤底筋を締める。
    お尻やお腹の筋肉に力を入れないように注意しましょう。
  • 2の状態を約5秒間キープした後、ゆっくり力を抜く。
    ※呼吸を止めないように意識しましょう。
  • 2~3を10回繰り返す。

応用編で、仰向けの状態からお尻を浮かせていく方法もあります。

歩きながらできるトレーニング

歩きながら骨盤底筋を鍛えるトレーニングは、全身運動と組み合わせて効果を高めることが可能です。
通勤や買い物などの日常生活で歩いているときにトレーニングができ、尿もれの予防や姿勢改善、体幹の強化が期待できます。
歩きながら骨盤底筋を意識することが難しい場合は、まずは座位や仰向け、立位などの静止した姿勢で練習してから実践してみましょう。
慣れてきたら、骨盤底筋を締めた状態で歩く歩数を増やしたり、歩幅を広げたりして負荷を調整しましょう。

  • 背筋を伸ばし、あごを軽く引いた姿勢で立つ。
  • ゆっくり歩きながら、肛門や尿道を引き上げるイメージで骨盤底筋を「キュッ」と締める。
  • 骨盤底筋を締めた状態で5歩歩いたら、次の5歩は力を緩めながら歩く。
    ※骨盤は左右に揺らさず、安定した歩き方を心がけましょう。
  • 2~3のサイクルを繰り返す。
    ※このとき、呼吸を止めないように意識しましょう。

立った状態でできるトレーニング

  • 足を肩幅に開いてまっすぐ立ち、両足に重心を均等に乗せた状態から、少し上体を前に倒す。
    ※背筋をまっすぐ伸ばし、猫背や反り腰にならないよう注意しましょう。
    ※バランスを保つのが難しい場合は、テーブルや壁を利用してください。
  • 肛門や尿道を「キュッ」と引き上げる感覚で骨盤底筋を締める。
  • 2の状態を約5秒間保ち、ゆっくり力を抜く。
    ※呼吸を止めないように意識しましょう。
  • 2~3を10回繰り返す。

膀胱のトレーニング

もれるのが心配で、尿意を感じないのに“あらかじめ”トイレに行くという癖がついてしまうと、膀胱が勝手に縮み過敏な動きをするため、うまく尿をためられなくなってもれてしまいます。適度におしっこをためる習慣をつけることが大切です。

はじめは自宅にいる時から始めましょう。

  1. トイレに行きたくなっても、まずは我慢します。
  2. 最初は2~3分、次に5分くらいを目標に、いよいよ我慢が出来なくなったというタイミングでトイレに行くようにするトレーニングを1週間程度続けます。
  3. 少しずつ我慢する時間を10分、15分と延ばしていき、1時間程度我慢できるようになればトレーニングの目標は達成です。

立った状態で行う骨盤底筋トレーニングは、骨盤底筋を鍛えながら姿勢も整えられる効率的なメニューです。
料理や皿洗いなどの家事をしているときや立ち仕事中など、日常生活に取り入れやすい筋トレメニューです。

薬物療法

薬物療法では、主に下記のような薬を処方し治療を行います。

抗コリン薬

抗コリン薬は、神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを妨げる働きがあります。アセチルコリンは膀胱の収縮に関与しているため、抗コリン薬は膀胱の緊張を緩め、意図しない筋や筋群の収縮を減らす効果があります。長い歴史があり、安全性と有効性が確立された薬です。

副作用として、口の渇きや便秘、吐き気などが起こる場合があります。また、人によっては排尿がしづらくなり、高齢者では少量から服用することが勧められます。

β3(ベータスリー)受容体作動薬

交感神経のβ3受容体に刺激を与える薬です。膀胱の筋肉でβ3受容体が刺激を受けると、筋肉が緩んで膀胱が広がり尿道を縮ませます。膀胱の容量を増加させることにより尿を蓄えやすくして、尿意の切迫感や頻尿などを改善する薬です。

抗コリン薬に比べ口内の乾燥や便秘の副作用が少なく、有効性もある薬です。

漢方八味地黄丸

八味地黄丸(はちみじおうがん)は、頻尿や腰痛、軽い尿漏れなどの症状に効果がある漢方薬です。加齢による体の機能低下や「腎虚」を改善することで、尿トラブルや足腰の痛みなどの症状を改善します。

【効能・効果】

  • 頻尿、夜間尿、残尿感、排尿困難などの尿トラブル
  • 腰痛、下肢痛、しびれ
  • かすみ目、かゆみ、むくみ
  • 高血圧に伴う肩こり、頭重、耳鳴り

参考

骨盤底筋を鍛えるトレーニング | 尿もれ改善に効果的な方法を紹介 | SIXPAD-シックスパッド公式サイト
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骨盤底筋訓練 | あなたの尿もれ治療がわかる 骨盤底機能再建診療部
切迫性尿失禁とは?原因や対策、治し方について解説 | 【公式】フェミクッション(三井メディカルジャパン)
三井メディカルジャパンの切迫性尿失禁とは?原因や対策、治し方について解説に関するページです。40カ国13万⼈が愛⽤する医師監修の⾻盤臓器脱•⼦宮脱サポーター【フェミクッション】です。

使用した画像

骨盤底筋の解剖図 Copyright © Andreus / 123RF 写真素材

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