オルソケラトロジーで視力矯正

健康

ICLをしたく調べてるとオルソケラトロジー(Orthokeratology: Ortho-K)が出てきて、オルソケラトロジーは就寝時にコンタクトレンズを装用することで角膜前面を平坦化させ、屈折矯正効果を得て近視を矯正する治療法です。

オルソケラトロジーとは?

夜間に装着する特殊な高酸素透過性ハードコンタクトレンズ(角膜矯正用レンズ)を用いて、角膜の形状を一時的に変化させ、角膜中央部を平坦化させ、光の焦点を網膜上に合わせることで視力を矯正することで日中は裸眼で過ごせる視力矯正法。主に近視乱視の矯正に用いられる。効果は可逆的で、レンズの使用をやめると角膜は元の形状に戻る。

オルソケラトロジーの基本原理

オルソケラトロジーは、「角膜上皮細胞の物理的な再配置」「光の屈折調整」を組み合わせた非侵襲的な矯正法です。特に成長期の子どもの近視進行抑制に効果的ですが、適切なレンズフィッティングと継続的な管理が不可欠で眼科医による定期的な検査を受けながら、安全に活用することが重要です。

特殊なハードコンタクトレンズを夜間装着し、レンズの内面デザインで角膜(黒目部分)に軽い圧力をかけることで、角膜の形状を平坦化させます。
これにより、光が網膜上で正確に焦点を結ぶようになり、近視や乱視を矯正します

レンズの設計と作用

  • 逆幾何学設計(Reverse Geometry)
    中央部が平坦で、周辺部が急カーブの形状
    このデザインが角膜中央を平らにし、周辺部を引き上げる効果を生む
  • ベースカーブ(Base Curve)
    角膜中央を平坦化する部分
  • リバースゾーン(Reverse Zone)
    角膜周辺部に圧力をかける部分
  • アライメントゾーン(Alignment Zone)
    角膜にフィットさせる安定部分
  • 高酸素透過性素材
    酸素透過性が極めて高い(DK値が高い)素材を使用し、就寝中の角膜への酸素供給を確保
    例:シリコーンハイドロゲル

角膜形状変化のメカニズム

(1)角膜上皮細胞の再分布

  • レンズの圧力で、角膜中央部の上皮細胞が周辺部に移動し、中央部が薄く平坦化します
  • 同時に、角膜周辺部(中間部)がやや厚くなり、軽い「周辺部網膜焦点の制御」が働きます(近視進行抑制の一因と考えられる)

(2)光の屈折調整

  • 角膜が平坦化することで、近視(眼球の長さによる焦点ズレ)を補正
  • 乱視がある場合は、非対称なレンズデザインで角膜の歪みを修正

(3)効果の持続性

  • 角膜の変化は一時的で、レンズの使用を中止すると、数日〜1週間で元の形状に戻る

不可逆ではなく可逆であることあポイント

効果発現のプロセス

  1. 初回装着時
    • 数時間で軽い矯正効果が現れますが、安定した効果には通常 1〜2週間 の継続的な装着が必要
  2. 安定期間
    • 角膜形状が最適化され、日中は裸眼で過ごせる
  3. メンテナンス
    • 効果を維持するため、毎晩(または定期的に)レンズを装着

近視抑制効果のメカニズム

  • 周辺網膜焦点理論
    オルソケラトロジーにより、角膜周辺部の光が網膜前方で焦点を結ぶ状態を作り出し、これが眼球の過剰な伸長(近視進行)を抑制すると考えられる
  • 臨床データ
    小児を対象とした研究では、オルソケラトロジーを装着した場合、通常の眼鏡やコンタクトに比べ、近視の進行が 30〜50%抑制 されたとの報告がある

限界と注意点

  • 個人差の影響
    • 角膜の厚さや形状、弾性によって効果が異なる
    • 強度近視(-6D以上)や高度乱視には適応できない場合がある
  • 一時的な効果
    • レンズの使用をやめると、数日で視力が元に戻る
  • 衛生管理の重要性
    • 不適切なレンズケアで細菌やアカントアメーバによる角膜感染症のリスクがある

オルソケラトロジーのメリット

  • 手術が不要でリスクが低い
    レーシックなどの外科的手術と異なり、角膜を削らない
  • 日中は裸眼で生活可能
    スポーツや水泳など活動制限が少ない
  • 近視進行抑制効果
    特に成長期の子どもの近視進行を遅らせる効果が期待される(研究報告あり)
  • 可逆的
    使用中止で元の状態に戻る

オルソケラトロジーのデメリット

  • 感染リスク
    不適切なレンズ管理で角膜感染症(例:アカントアメーバ角膜炎)の可能性
  • 効果に個人差
    矯正可能な度数に限界(近視は-6D程度まで、乱視は-2D程度)
  • 装着時の違和感
    ハードレンズのため、慣れるまで不快感を感じる場合がある
  • 定期検査が必要
    角膜の状態や視力を継続的にモニタリングする必要あり

オルソケラトロジーの費用

  • 初期費用
    片眼 3〜5万円、両眼で 6〜10万円(検査・診察・レンズ代を含む)
  • ランニングコスト
    レンズの寿命は1〜2年程度で、交換費用が別途必要
  • 保険適用外
    自由診療のため全額自己負担

オルソケラトロジーの世界的利用状況

  • アメリカ・欧州
    FDA(米国)やCE(欧州)の認可を受けて普及。特に子どもの近視抑制目的で推奨される
  • アジア
    台湾や韓国で普及率が高く、中国では近視人口の多さから需要拡大中
  • 日本
    2009年に厚生労働省が医療機器として承認。近年、小児の近視抑制効果への注目で導入する眼科が増加

オルソケラトロジーの今後

  • 技術革新
    レンズデザインや素材の進化により、矯正可能な度数範囲の拡大が期待
  • 近視抑制への応用
    学童期の近視進行を防ぐ治療法として研究が活発化
  • AI・個別化医療
    角膜形状データをAI解析し、患者ごとに最適なレンズ設計が可能に
  • 規制の強化
    安全性確保のため、適切な検査や医師の技術基準が世界的に整備される見込み

オルソケラトロジーの子どもへの視力矯正効果と影響

重要な事実

世界の研究では、オルソケラトロジーを適切に使用した子どもの約80%で、近視の進行が有意に抑制されたと報告されています。ただし、効果を最大化するには「早い段階での開始」と「継続的な使用」がカギです。

オルソケラトロジーは、子どもの近視進行を抑制する最も効果的な方法の一つとされていますが、以下の条件が重要です。

  1. 眼科医による厳格な管理
    3〜6か月ごとの検査で角膜の健康状態を確認
  2. 保護者と子どもの協力
    レンズの清潔な管理と継続的な装着が必須
  3. 他の対策との併用
    • 屋外活動の増加(1日2時間以上が推奨)
    • 近業(スマホ・読書)時の姿勢改善
    • 必要に応じて低濃度アトロピン点眼薬との併用も検討されます

子どもに適応できる場合

  • 年齢
    一般的に8歳以上が推奨されます(眼球の成長や自己管理能力を考慮)
  • 近視の度数
    軽度〜中等度の近視(-0.50D 〜 -6.00D)が対象。高度近視や強度乱視は適応外の場合あり
  • 健康状態
    • 角膜や結膜に疾患がない(例:ドライアイ、アレルギー性結膜炎が重症でない)
    • 夜間のレンズ装着とケアが可能(保護者の協力が必要)
  • 近視進行中の子ども
    成長期で近視が急速に進んでいる場合に特に推奨されます
注意

適応可否は眼科医の詳細検査(角膜形状・厚さの測定など)で決定されます

子どもへのメリット

  • 近視進行の抑制効果
    • 臨床研究で、オルソケラトロジーを使用した子どもの近視進行が 30〜50%抑制 されたと報告されています(眼鏡や通常のコンタクトと比較)
    • 近視の原因とされる「眼軸長(眼球の伸び)」の成長を遅らせる効果が確認されている
  • 日中は裸眼で活動可能
    • スポーツや外遊びの際に眼鏡やコンタクトの煩わしさがなく、安全性が向上
  • 非侵襲的で可逆的
    • 手術不要のためリスクが低く、効果が一時的なため将来の選択肢を狭めません
  • 心理的負担の軽減
    • 眼鏡によるいじめや外見のコンプレックスを避けられる可能性がある

子どもへのデメリット

  • 感染リスク
    • 手洗いやレンズケアが不十分だと、細菌性角膜炎アカントアメーバ角膜炎のリスクが高まる
  • 装着の負担
    • 就寝中のレンズ装着に慣れるまで不快感を感じる子どもが多い
    • 寝ている間にレンズがずれると効果が不安定になることあある
  • 費用と手間
    • 初期費用が高額(両眼で6〜10万円)で、定期的な検査(3〜6か月ごと)が必要
    • レンズの洗浄や管理に保護者の協力が必須
  • 効果の個人差
    • 角膜の形状や成長速度によっては、期待した抑制効果が得られない場合がある

適応した子どもの将来

  • 近視進行の抑制効果の持続性
    • 成長期(8〜15歳)に継続して使用することで、成人後の近視度数を軽減できる可能性がある
    • ただし、効果は使用中に限られ、中止後は近視が再進行するケースもある
  • 角膜への長期的な影響
    • 適切に管理された場合、角膜の形状変化は可逆的で、永続的なダメージはほぼ報告されている
    • ただし、10年以上の長期使用データは限られており、継続的な研究が必要
  • 将来の選択肢
    • 成人後にレーシック手術を受ける際、角膜の状態によっては適応可能(角膜厚に余裕があれば問題ない場合が多い)

眼鏡、コンタク、ICLなどと視力矯正比較

  • 子ども(8〜15歳)
    近視進行抑制には オルソケラトロジー が最適
    低濃度アトロピン点眼薬との併用も検討
  • 成人(永続的矯正希望)
    • 角膜が厚い場合 → レーシック(費用対効果が高い)
    • 強度近視・乱視 → ICL(安全性が高い)
  • 手軽さ重視
    コンタクトレンズ または 眼鏡
  • 日中裸眼希望(非手術)
    オルソケラトロジー が唯一の選択肢
注意

いずれの方法も眼科医による精密検査が必須です。

比較項目眼鏡コンタクトレンズレーシックICLオルソケラトロジー
手術の有無ありあり
矯正方法レンズ装着レンズ装着角膜を削る眼内レンズ挿入夜間レンズ装着
矯正効果の持続性短期(装着時のみ)短期(装着時のみ)長期長期(レンズ交換可能)中期(24〜48時間持続)
視力の安定性中程度中程度高い高い中程度
可逆性ありありなしあり(レンズ摘出可能)あり
近視矯正可能度数理論上無制限ソフト:-12D
ハード:-20D
-10D まで-20D まで-6D まで
乱視矯正可能度数理論上無制限ソフト:-2.75D
ハード:-6D
-6D まで-6D まで-2D まで
適応年齢全年齢10歳以上(管理能力による)18歳以上20歳以上(眼球成長終了後)8歳以上(近視進行期の子ども)
近視進行抑制効果あり(30〜50%抑制)
費用(初期)低い(1〜5万円)中程度(年間1〜3万円)中程度(15〜40万円)高い(50〜80万円)高い(15〜20万円)
維持費用低い高い低い低い高い
リスク・副作用なし(フレーム破損除く)角膜感染症・ドライアイドライアイ・ハロー現象白内障・緑内障角膜感染症・角膜変形
ドライアイのリスクなし高い高い低い低い
夜間の光のにじみ高い低いあり
装着・使用の手間低い高い(洗浄必須)不要不要高い(毎晩装着)
視力回復までの時間即時即時短い(1週間)短い(1〜2日)数日〜数週間
長期的な角膜への影響なし角膜血管新生角膜薄層化リスク低一時的変化のみ
適応範囲広い広い限定的広い限定的
スポーツ適性△(外れる・曇る)△(外れる・乾燥)◎(水泳可能)◎(衝撃に強い)◎(日中裸眼)
保険適用一部適用自由診療自由診療自由診療自由診療
検査頻度1〜2年ごと3〜6か月ごと年1回年1回3か月ごと(必須)

まとめ

オルソケラトロジーは、手軽な視力矯正法として注目される一方、リスク管理が不可欠。特に子どもの近視抑制効果は大きなメリットだが、専門医による定期的な検査適切なレンズケアが必須。今後は技術発展とともに、より安全で効果的な治療法として進化が期待される。

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