国立国会図書館（以下、NDL）の利用方法、新規利用者登録の手順、蔵書数、建屋面積、そして書籍のカテゴリ別割合に関する包括的な情報を提供することを目的としています。
1. 国立国会図書館の概要
1.1. 設立目的と役割
国立国会図書館は、1948年（昭和23年）に設立されました。その基本的な使命は、国会議員の職務遂行を補佐することであり、加えて、国の行政機関、司法機関、そして日本国民に対して図書館サービスを提供することにあります。
日本唯一の国立図書館として、NDLは納本制度に基づいて運営されています。これは、国内で発行されたすべての出版物を収集・保存することを義務付けるものであり、国の文化的・知的な遺産の包括的な記録を維持し、後世に伝える上で極めて重要な役割を担っています。国内出版物に関しては「網羅的収集」を基本方針としています。
国会への奉仕と国民へのサービス提供という二重の役割は、NDLのコレクション形成、サービス提供、アクセシビリティにおいて、バランスの取れた運営を求めるものです。このことは、例えば国会議事堂内の分館の存在や、利用者登録制度におけるサービスレベルの違いにも現れています。納本制度は、特定の利用者に限定されず、広く国民や研究者にとっての国の文化遺産の保存という大きな目的に貢献しています。
NDLの役割は、単なる図書の収蔵施設に留まりません。その広範なデジタルコレクションやオンラインサービスが示すように、国内外の情報基盤において積極的な参加者としての地位を確立しています。これは、現代の国立図書館が情報ネットワークのハブとしての機能を期待されていることの現れと言えるでしょう。
1.2. 主要施設（東京本館、関西館、国際子ども図書館）の紹介
NDLは、主に以下の三つの施設から構成されています。
- 東京本館: 東京都千代田区永田町に位置し、NDLの中核施設として広範な資料を所蔵し、多岐にわたるサービスを提供しています。建築家・前川國男の事務所による設計も特筆されます。
- 関西館: 京都府相楽郡精華町にあり、東京本館の機能を補完する目的で設置されました。特に、利用頻度の低い資料の保存や、アジア関連資料を含む高度な情報サービス提供拠点としての役割を担っています。
- 国際子ども図書館: 東京都台東区上野公園内に位置し、日本初の国立児童書専門図書館として、子どもたち自身だけでなく、児童文学研究者などにもサービスを提供しています。
関西館の設立は、増え続ける国内の出版物を管理し、専門的なサービスを提供するための戦略的な分散化を意味します。これにより、すべての資料が一箇所に集中することによるリスク（災害など）を軽減する意図も見て取れます。関西館がアジア情報に特化した機能を持つことは、特定の分野におけるサービスの深化を目指す戦略の表れです。
また、国際子ども図書館の存在は、国として児童の読書推進、児童文化の振興、そしてこの専門分野における研究支援に力を入れていることを示しており、児童文学を国家的な文化資源として重視していることの証左と言えるでしょう。これらの施設は単に機能的な建物であるだけでなく、知識と国の文化遺産の象徴としての意味合いも込められています。例えば、東京本館の前川國男による設計や、関西館の壁面デザインが本の「天」と「地」をモチーフにしていることは、これらの施設に与えられた文化的な重要性を反映しています。
2. 国立国会図書館の利用方法
2.1. 来館利用
NDLの各施設では、来館して資料を利用することができます。
- 東京本館:入館後、資料の検索・請求（閉架式書庫資料の場合）、専門室資料やデジタル化資料の利用、複写サービス、レファレンスサービスといった流れで利用します。事前に開館時間・休館日を確認し、時間に余裕をもって来館することが推奨されます。利用案内動画がNDL公式YouTubeチャンネルで公開されています。
- 関西館:東京本館と概ね同様の流れで利用できます。開架資料（総合閲覧室に約9万冊、アジア情報室に約3万冊）や電子情報、データベースの利用のほか、登録利用者は書庫内資料の利用や予約、東京本館及び国際子ども図書館所蔵資料の取り寄せも可能です。原則として満18歳以上が対象で、利用者登録には本人確認書類が必要です。
- 国際子ども図書館:年齢制限なく利用できますが、児童書研究資料室など一部の資料室は入室手続きが必要です。事前予約制のガイドツアーも実施されています。
閉架書庫の資料利用や館種間貸出に利用者登録（特に「本登録」）が必要であることは、NDLが膨大な資料を管理しつつ、適切な条件下で提供するための体制を整えていることを示しています。これは、資料の保全と効率的な利用を両立させるための措置と言えるでしょう。また、NDLが提供する利用案内動画 や障害のある利用者へのサポートは、大規模で複雑な機関を利用する際の障壁を低減し、利用者体験とアクセシビリティ向上への配慮がうかがえます。
2.2. 遠隔サービス
来館が困難な利用者のために、多様な遠隔サービスが提供されています。
- 文献複写サービス: 郵送またはインターネット経由で、NDL所蔵資料の一部の複写を申し込むことができます。
- デジタル化資料の閲覧・複写: NDLサーチを通じて、デジタル化された資料を閲覧したり、許諾範囲内で複写したりすることが可能です。これらの資料は、インターネット公開、図書館・個人送信限定、館内限定といった公開範囲が設定されています。
- レファレンスサービス: 関西館が中心となり、電話による調査相談も受け付けています。
- 図書館間貸出し: 全国の図書館を通じてNDLの資料を取り寄せることができます。
これらの遠隔サービス、特にデジタル化資料へのアクセスや図書館間貸出しは、NDLが物理的な制約を超えて全国的な情報資源としての役割を果たす上で不可欠です。地理的な制約なく資料を利用可能にすることで、情報アクセスの平等性に貢献しています。著作権法を遵守しつつ最大限のアクセスを提供しようとするNDLの姿勢は、デジタル化資料の公開範囲設定にも表れています。
特に注目すべきは、「個人向けデジタル化資料送信サービス」です。これは、登録利用者が自宅等の端末から直接デジタル化資料の送信を受けられるサービスで、遠隔アクセスの利便性を大きく向上させるものです。ただし、このサービスの提供範囲は著作権法や権利者との許諾契約に大きく左右されるため、利用可能な資料は変動する可能性があり、今後の動向が注目されます。
2.3. オンラインサービス
NDLは、利用者の利便性向上のため、多様なオンラインサービスを提供しています。
- 国立国会図書館サーチ (NDL Search): NDLの所蔵資料（図書、雑誌、デジタル資料等）を横断的に検索できるポータルサイトです。各種オンラインサービスの申込み窓口も兼ねています。
- 国立国会図書館デジタルコレクション (NDL Digital Collection): デジタル化された資料を閲覧できるサービスです。2023年末時点で約557万点の資料が提供されており、そのうち約191万点がインターネット上で誰でも自由に閲覧可能です。その他は、図書館送信・個人送信の対象資料や館内限定公開資料となります。資料の検索、閲覧、許諾範囲内での印刷が可能です。
- WARP (Web Archiving Project): 日本国内のウェブサイトを収集・保存するプロジェクトです。収集されたウェブサイトは、日本の社会や文化を記録する貴重な資料となります。
これらのオンラインサービスへのアクセス数は非常に多く、2023年の統計ではNDLサーチ、デジタルコレクション、WARPの総アクセス数は1億2700万件を超えています。これは同年の来館者数（2021年統計で38万3820人 ）を大幅に上回っており、NDLの利用形態がデジタル中心へと大きく移行していることを示しています。この傾向は、情報アクセスの利便性を飛躍的に向上させる一方で、デジタル基盤への継続的な投資と、著作権などの法的課題への対応の重要性を浮き彫りにしています。
NDLデジタルコレクションにおける公開範囲の区分は、著作権法との調整の結果であり、これは世界のデジタルライブラリーが共通して直面する課題です。著作権保護期間中の資料については、館内限定公開や、許諾を得た範囲での図書館送信・個人送信といった形でアクセスを提供することで、法的制約の中で最大限の利用機会を確保しようとするNDLの努力がうかがえます。
3. 新規利用者登録の手順
NDLのサービスを十分に活用するためには、利用者登録が推奨されます。
3.1. 登録資格と登録種別
| 来館利用 | 遠隔複写 | 記事掲載箇所調査 | 個人向けデジタル化資料送信 | 本人確認書類 | |
| 本登録本 | ○ | ○ | ○ | ○ | 必須 |
| 簡易登録 | × | ○ | ○ | × | 不要 |
- 登録資格: 原則として満18歳以上の方が登録できます。国際子ども図書館はこれとは異なる利用規定があります。
- 登録種別:
- 本登録: 書庫内資料の利用請求や個人向けデジタル化資料送信サービスなど、NDLの全サービスを利用できます。本人確認書類による確認が必要です。
- 簡易登録: NDLサーチの機能の一部（検索結果の保存等）や、公開範囲が限定されていないオンライン資料の利用が主となります。オンラインでメールアドレス等により登録できます。
- 登録は無料です。
- 一人が複数の利用者IDを登録することはできません。
- 登録の有効期間は3年間ですが、NDLサーチへのログインやサービスの利用により自動的に延長されます。
この2段階の登録制度は、基本的なオンラインサービスへのアクセスを容易にしつつ、貴重な実物資料や著作権に関わるデジタル資料へのアクセスには厳格な本人確認を求めることで、利便性と資料保全・法的責任のバランスを取るためのものです。また、利用実績に応じた有効期間の自動延長は、利用者と図書館双方の管理負担を軽減する実用的な仕組みと言えます。
3.2. 登録に必要な書類・情報
- 本登録:
- 氏名、生年月日、現住所が確認できる有効な本人確認書類が必要です。
- 認められる書類には、個人番号カード（表面のみ）、運転免許証、住民票の写し（発行後3か月以内で個人番号の記載がないもの）、パスポート（現住所記載があるもの）、健康保険証（住所記載があるもの）、学生証（住所記載があるもの）などがあります。
- 本人確認書類に現住所の記載がない場合は、公共料金の領収書（発行後3か月以内）などの補足書類が必要となる場合があります。
- 登録する住所は現住所とし、勤務先や学校の所在地は認められません。
- 簡易登録（オンライン）:
- 主に有効なメールアドレスが必要です。郵送サービスを利用する場合などは氏名・住所も必要となりますが、この段階での厳格な本人確認は行われません。
「本登録」における厳格な本人確認は、国の文化遺産である貴重資料へのアクセス管理とセキュリティ確保のために不可欠です。また、現住所を登録情報とすることは、利用者との確実な連絡手段を確保し、サービスの適切な提供と責任ある利用を促す上で重要です。
3.3. 登録方法と所要時間
- オンライン登録（NDLサーチ経由）:
- 「簡易登録」および「本登録」の申請が可能です。
- 「本登録」をオンラインで行う場合、本人確認書類の画像ファイル（JPEGまたはPNG形式）のアップロードが必要です。
- 手続きには有効なメールアドレスが必須で、NDL（ndl.go.jpドメイン）から手続き案内のメールが送信されます。
- オンラインでの「本登録」の本人確認には通常5開館日程度を要しますが、申請状況により変動することがあります。確認完了までは「簡易登録」利用者として一部サービスを利用できます。
- 郵送登録（本登録のみ）:
- 所定の申請書、本人確認書類の写し、返信用封筒（切手不要）を関西館文献提供課複写貸出係へ郵送します。
- 利用者登録証が郵送で届くまでには2週間程度かかる場合があります。
- 来館登録（東京本館・関西館）:
- 東京本館（新館入口利用者登録カウンター）または関西館（入退館カウンター）で、「本登録」の新規申請または「簡易登録」からの移行手続きが可能です。
- 申請書と本人確認書類を持参する必要があります。国際子ども図書館ではこの手続きは行えません。
- 登録利用者カード: オンラインまたは郵送で「本登録」を完了した利用者が、東京本館または関西館に初めて来館した際に発行されます。館内での資料利用に必要です。
多様な登録方法（オンライン、郵送、来館）を提供することで、利用者の状況に応じた利便性を確保しようとするNDLの姿勢がうかがえます。特に郵送申請を関西館で一括処理している点は、業務効率化のための内部体制の工夫と考えられます。本登録に要する期間は、確実な本人確認を行うための必要な時間であり、その間の簡易登録による一部サービス利用は、利用者への配慮と言えるでしょう。
4. 蔵書について
4.1. 総蔵書数と資料種別内訳
2023年（令和5年）末時点での国立国会図書館の総蔵書数は、47,531,625点です。この数値は東京本館、関西館、国際子ども図書館の合計です。
その内訳は多岐にわたっており、図書のみならず、雑誌、新聞、マイクロ資料、視聴覚資料、電子資料など、多様な形態の資料を収集・保存しています。主要な資料種別の蔵書数は以下の通りです（2023年末時点。
表1：国立国会図書館 資料種別蔵書数（2023年末時点）
| 資料種別 | 蔵書数 |
| 図書 | 12,302,392点 |
| 雑誌 | 13,718,823点 |
| 新聞 | 7,059,131点 |
| マイクロ資料 | 9,170,324点 |
| 映像資料 | 295,098点 |
| 録音資料 | 824,320点 |
| 機械可読資料（CD-ROM等） | 189,956点 |
| 地図資料 | 600,786点 |
| 楽譜資料 | 32,591点 |
| 博士論文 | 602,462点 |
| 文書類 | 466,869点 |
| 点字・大活字資料 | 51,337点 |
| 総計 | 47,531,625点 |
この表は、NDLが図書以外の多様な情報資源を網羅的に収集していることを明確に示しています。特に雑誌の点数が図書を上回っている点は、学術研究や歴史的動向の調査に不可欠な逐次刊行物のアーカイブ機関としてのNDLの重要な役割を反映しています。また、917万点を超えるマイクロ資料は、デジタル化以前の時代における新聞や貴重資料の保存努力の規模を物語っており、これらの資料のデジタル化とアクセシビリティ向上は継続的な課題であると推察されます。
4.2. 書籍のカテゴリ別割合について
NDLでは、日本語資料の主題分類に主に日本十進分類法（NDC） を採用しています。2017年4月からはNDC第10版を適用しています。
しかしながら、提供された資料の中には、NDLの全蔵書（図書約1230万冊）をNDCの主題分野別に分類した包括的な統計データや割合は含まれていませんでした。
スニペット23は、「図書館送信サービス」における特定分野の利用頻度が高いことを示唆していますが、これはサービス内での相対的な利用傾向であり、NDL全体の蔵書構成比を示すものではありません。NDLの資料収集方針は、国内出版物については「網羅的収集」を原則としていますが、主題別の具体的な割合は提示していません。
このような詳細な主題分類別の蔵書統計は、通常、「国立国会図書館年報」に掲載されます。したがって、書籍のカテゴリ別割合に関する正確かつ最新の情報を求める場合は、NDLのウェブサイトからアクセス可能な「国立国会図書館年報」の統計部門を参照することが推奨されます。
NDLが国内出版物を網羅的に収集するという方針を考慮すると、その蔵書の主題構成は、特定の専門図書館とは異なり、長年にわたる日本国内の出版動向全体を反映したものになると考えられます。つまり、特定の分野に偏るのではなく、人文科学、社会科学、自然科学、技術、芸術、文学、歴史など、あらゆる分野の出版物が、その発行量に応じて収集されていると推測されます。このような網羅性は、NDLが国民全体の知的インフラとして機能するための基盤となっています。
5. 施設概要
5.1. 各館の建屋面積
NDLの主要施設の規模を示す建屋面積は以下の通りです（主にの統計に基づく）。
表2：国立国会図書館 主要施設面積及び収蔵能力
| 施設名称 | 敷地面積 | 建物延べ面積 | 閲覧スペース面積 | 書庫延べ面積 | 書庫収蔵能力 |
| 東京本館 | 30,000 m² | 148,000 m² | 19,000 m² | 78,000 m² | 1200万冊 |
| 関西館 | 83,000 m² | 84,000 m² | 4,300 m² | 39,000 m² | 1100万冊 |
| 国際子ども図書館 | 7,700 m² | 13,000 m² | 2,100 m² | 3,100 m² | 105万冊 |
東京本館と関西館を合わせた書庫収蔵能力は2300万冊に達し、現在の図書蔵書数約1230万冊を大きく上回っています。これは、納本制度により継続的に増え続ける資料を将来にわたって受け入れるための重要な備えであり、国立図書館としての永続的な使命を支える基盤です。
各施設の面積比率を見ると、東京本館と関西館では書庫面積が閲覧スペース面積に対して非常に大きい（東京本館：約4.1倍、関西館：約9.1倍）のに対し、国際子ども図書館ではその比率が比較的小さい（約1.5倍）ことがわかります。これは、前二者が大規模な資料保存と研究利用を主眼とする一方、国際子ども図書館は児童や児童文学研究者の利用に即した、より開かれた閲覧環境を重視していることの表れと考えられます。関西館の敷地面積が東京本館に比べて広大であるのに対し、延床面積が小さい点は、将来的な拡張性や、より緑豊かな環境設計を意図した結果かもしれません。
6. 各館の所在地・開館時間・休館日・アクセス
NDLの主要3施設の所在地、開館時間、休館日、アクセス方法は以下の通りです。
6.1. 東京本館
- 所在地: 〒100-8924 東京都千代田区永田町1-10-1
- 開館時間: 月曜日～金曜日：9:30～19:00、土曜日：9:30～17:00
- 休館日: 日曜日、国民の祝日・休日、毎月第3水曜日（資料整理日）、年末年始
- アクセス方法:
- 東京メトロ有楽町線「永田町駅」2番出口 徒歩約5分
- 東京メトロ半蔵門線・南北線「永田町駅」3番出口 徒歩約8分
- 東京メトロ丸ノ内線・千代田線「国会議事堂前駅」1番出口 徒歩約12分
- 都営バス（橋63系統）「国会議事堂前」停留所 徒歩約5分
6.2. 関西館
- 所在地: 〒619-0287 京都府相楽郡精華町精華台8-1-3
- 開館時間: 月曜日～土曜日：9:30～18:00
- 休館日: 日曜日、国民の祝日・休日、毎月第3水曜日（資料整理日）、年末年始
- アクセス方法:
- JR学研都市線「祝園駅」・近鉄京都線「新祝園駅」から奈良交通バス「国立国会図書館」下車（約13分）
- 近鉄けいはんな線「学研奈良登美ヶ丘駅」から奈良交通バス「国立国会図書館」下車（約15分）
- 駐車場：約200台（無料）
6.3. 国際子ども図書館
- 所在地: 〒110-0007 東京都台東区上野公園12-49
- 開館時間: 9:30～17:00
- 休館日: 月曜日、国民の祝日・休日（こどもの日（5月5日）は開館）、毎月第3水曜日（資料整理日）、年末年始
- アクセス方法:
- JR「上野駅」公園口 徒歩10分
- 東京メトロ日比谷線・銀座線「上野駅」7番出口 徒歩15分
表3：国立国会図書館 主要施設利用情報概要
| 施設名称 | 所在地 | 主な開館時間（平日） | 主な休館日 | 主な公共交通アクセス |
| 東京本館 | 東京都千代田区永田町1-10-1 | 9:30～19:00 | 日曜、祝休日、第3水曜、年末年始 | 地下鉄永田町駅 徒歩約5～8分、国会議事堂前駅 徒歩約12分 |
| 関西館 | 京都府相楽郡精華町精華台8-1-3 | 9:30～18:00 | 日曜、祝休日、第3水曜、年末年始 | JR祝園駅・近鉄新祝園駅または近鉄学研奈良登美ヶ丘駅からバス「国立国会図書館」下車 |
| 国際子ども図書館 | 東京都台東区上野公園12-49 | 9:30～17:00 | 月曜（祝休日の場合は翌平日）、祝休日（5/5除く）、第3水曜、年末年始 | JR上野駅公園口 徒歩10分、地下鉄上野駅 徒歩15分 |
各施設で共通して毎月第3水曜日が資料整理のための休館日となっている点は、大規模な図書館システム全体の維持管理や職員研修などを計画的に行うための措置と考えられます。また、各施設へのアクセス方法について、最寄り駅の出口からの詳細な道案内や、場合によってはテキスト形式でのルートガイドが提供されていることは、初めて訪れる利用者への配慮であり、円滑な来館を支援する取り組みとして評価できます。
7. 国立国会図書館を最大限に活用するための推奨事項
国立国会図書館の膨大な資料と多様なサービスを有効に活用するためには、いくつかのポイントがあります。
7.1. 目的に応じた利用方法の選択
- 網羅的な調査や実物資料の確認: 特定の古い資料や専門資料、デジタル化されていない資料の閲覧が不可欠な場合は、来館利用が基本となります。事前にNDLサーチで資料の所蔵場所（東京本館、関西館、専門室など）や利用条件を確認することが重要です。
- 特定論文・記事の入手、遠隔地からの利用: 現地訪問が難しい場合や、特定の文献の一部が必要な場合は、遠隔複写サービスが有効です。
- 広範な情報探索、デジタル資料へのアクセス: まずはオンラインサービス、特にNDLサーチとNDLデジタルコレクションを活用し、資料の所在確認、公開範囲の確認、デジタル資料の閲覧を行うことが効率的です。
7.2. オンラインリソースの活用法
- NDLサーチ: 単純なキーワード検索だけでなく、詳細検索機能（資料種別、刊行年、所蔵館等での絞り込み）を駆使することで、より的確な情報にたどり着けます。利用者登録をすれば、検索結果の保存や各種申込みも可能です。
- NDLデジタルコレクション: 資料の「公開範囲」 を理解することが重要です。「図書館送信・個人送信限定」資料については、本登録利用者であれば個人向けデジタル化資料送信サービスを通じて遠隔閲覧が可能な場合があります。
- WARP（ウェブアーカイブプロジェクト）: 歴史的なウェブサイトや、現在は公開終了したウェブ情報を調査する際に有用です。
- NDL公式YouTubeチャンネル: 利用案内動画など、視覚的に分かりやすい情報が提供されています。
7.3. レファレンスサービスの利用
資料の探し方が分からない場合や、特定のテーマに関する調査に行き詰まった際には、NDLのレファレンスサービスを活用しましょう。各館のカウンターでの相談のほか、関西館では電話による問い合わせも受け付けています。専門の司書が調査の手助けや適切な資料の案内を行います。
NDLを効果的に利用するためには、オンラインツールでの事前準備と、来館・遠隔サービスを組み合わせた計画的なアプローチが求められます。特に、NDLデジタルコレクションの公開範囲の理解と、「個人向けデジタル化資料送信サービス」の活用は、遠隔からのアクセス可能性を大きく広げる鍵となりますが、著作権の制約により全ての資料が対象となるわけではない点に留意が必要です。NDLのウェブサイトで最新のサービス内容を確認し、自身の目的に最適な利用方法を選択することが、この国の知の宝庫を最大限に活かす道と言えるでしょう。
結論
国立国会図書館は、国会議員の活動支援と国民への情報提供という二つの重要な使命を担う、日本の中核的な情報基盤です。東京本館、関西館、国際子ども図書館という特色ある3施設を通じて、紙媒体からデジタル情報まで、4700万点を超える膨大な資料を収集・保存し、多様なサービスを提供しています。
利用にあたっては、満18歳以上を対象とした利用者登録制度があり、「本登録」を行うことで書庫資料の閲覧や遠隔サービスを含む全ての機能を利用できます。オンラインでの資料検索・閲覧、複写申込み、デジタル化資料の送信サービスなど、来館せずとも活用できる手段が充実しており、特にNDLサーチやNDLデジタルコレクションは情報アクセスの中心的な役割を果たしています。
施設の規模は広大で、東京本館と関西館を合わせると2000万冊を超える収蔵能力を有し、将来的な資料増加にも対応できる設計となっています。蔵書構成は、納本制度に基づき国内出版物を網羅的に収集しているため、特定の主題に偏ることなく、日本の知的生産活動全体を反映していると考えられます。
国立国会図書館を最大限に活用するためには、まずNDLサーチ等で目的の資料や情報を確認し、利用方法（来館、遠隔、オンライン）を適切に選択することが肝要です。オンラインリソースの特性を理解し、必要に応じてレファレンスサービスを利用することで、この国の知の集積地が提供する価値をより深く享受することができるでしょう。
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