福岡県民の胃袋を掴んで離さないソウルフード「びっくり亭」。熱々の鉄板でジュージューと音を立てる豚肉とキャベツ、そして食欲を無限に刺激する「秘伝の辛味噌」。
このレシピでは、ただの「豚キャベツ焼肉」で終わらない、あの店の味と体験を可能な限り忠実に再現することを目指します。
びっくり亭の味を構成する3つの柱
再現度を高めるため、まず「びっくり亭らしさ」の根源を3つのポイントに分解します。
- 肉とキャベツの黄金比
- 肉: 主役は「豚サガリ」または「豚ハラミ」です。これらは豚の横隔膜の部位で、赤身のような濃厚な旨味と、ホルモンらしい弾力のある食感を両立しています。スーパーで見つからない場合は、少し厚切りの豚バラ肉でも代用可能ですが、サガリ・ハラミを使うと再現度が格段に上がります。
- キャベツ: 肉の旨味と脂を吸って蒸し焼きにされた、くたっとした大量の千切りキャベツが不可欠です。
- 味の決め手「秘伝の辛味噌」
- 門外不出の辛味噌ですが、その味の方向性は「ニンニクの強烈なパンチ」「唐辛子の辛味」「味噌のコクと塩味」です。今回は、家庭で手に入る調味料を組み合わせて、あの味に限りなく近い辛味噌を再現します。
- 鉄板と「あの棒」が作る最高のタレ
- びっくり亭の真髄は、鉄板の下に木片(通称:あの棒)を置いて傾け、片側にたまった肉汁(脂)に辛味噌を溶かして「自分だけの最強タレ」を作るところにあります。この体験こそが最大のエンターテインメントです。
材料(ガッツリ2人前)
■ 主役の材料
- 豚サガリ(またはハラミ): 400g
- キャベツ: 1/2玉(約500g)
- ニンニク: 4〜5片(お好みで増減)
- ラード(またはサラダ油): 大さじ2
■ 肉の下味
- 醤油: 大さじ1.5
- 酒: 大さじ1
- おろしニンニク: 大さじ1(チューブでも可)
- 塩: 少々
- 粗挽き黒胡椒: たっぷり
■ びっくり亭風 辛味噌(作りやすい分量)
| 材料名 | 分量 | 備考 |
|---|---|---|
| 味噌 | 大さじ3 | 信州味噌や合わせ味噌が良い。 |
| 豆板醤(もしくはコチュジャン) | 小さじ1.5〜2 | ピリ辛のベース。 |
| おろしにんにく | 小さじ2 | |
| 一味唐辛子 | 小さじ2〜(お好みで) | お好みで辛さを調整。 |
| 砂糖 | 小さじ1 | |
| ごま油 | 小さじ1 |
■ 重要な調理器具
- 鉄板皿(ステーキ皿): 必須アイテム。なければスキレットでも可。
- 鉄板を傾けるための木片: 割り箸を数cmに折ったものや、かまぼこ板などでOK。
調理器具
- フライパン(できれば鉄製)
- ボール
- へら
調理手順
ステップ1:下準備
- キャベツを刻む: キャベツは5mm幅程度の少し太めの千切りにします。
- ニンニクをスライス: ニンニクは薄切りにします。
- 肉に下味をつける: 豚サガリは3〜4cm角の一口大にカットします。「肉の下味」の材料をすべてボウルに入れ、豚サガリを加えてよく揉み込み、15分ほど置きます。
- 辛味噌を作る: 「びっくり亭風 辛味噌」の材料をすべて混ぜ合わせ、滑らかになるまでよく練ります。
ステップ2:炒める
- フライパンを強火で熱し、ラード(ラード大さじ1〜2、またはサラダ油)とニンニクスライスを入れて香りを立てます。
- ニンニクの香りが立ったら、下味をつけた豚サガリを投入し、表面に焼き色がつくまで一気に炒めます。
- 肉に焼き色がついたら、千切りキャベツを肉の上に山のように乗せます。
ポイント: この時点では混ぜません。肉の上でキャベツを蒸し焼きにするイメージです。 - 蓋をして、火を中火に落とし、3〜4分ほど蒸し焼きにします。キャベツがしんなりしてきたらOKです。
- 蓋を取り、全体をよく混ぜ合わせながら、キャベツに肉汁を吸わせるように炒めます。キャベツが好みのしんなり具合になったら火を止めます。
ステップ3:盛り付けと仕上げ
- 最重要工程: 別のコンロで、提供用の鉄板皿を煙が少し出るくらいまでガンガンに熱しておきます。
- 熱々の鉄板皿に、炒めた肉とキャベツをすべて移します。ジュージューという音が食欲をそそります。
- 混ぜておいた辛味噌を、鉄板の端にこんもりと添えます。
ステップ4:いよいよ実食! びっくり亭の作法
- 食卓に鉄板を運び、すぐに木片を鉄板の片側の真下に置きます。鉄板が傾き、肉
びっくり亭らしさを引き出すコツ
びっくり亭の味をより忠実に再現するには、以下の点に注意すると良いでしょう。
- ラードを使う: ラードはびっくり亭の風味において非常に重要です。サラダ油ではなく、ぜひラードを使用してください。
- 「味の素」を使う: びっくり亭のレシピには味の素(うま味調味料)がよく使われています。入れすぎると味が崩れるので、少量ずつ加減することがポイントです。
- キャベツの食感: キャベツは炒めすぎず、シャキシャキした食感を残すようにします。
- にんにくの風味: にんにくの香味はびっくり亭の味の要です。おろしにんにくをたっぷりと使います。
- 肉の部位: 本来は「豚さがり」や「豚ハラミ」といった部位が使われますが、手に入りにくい場合は豚肩ロースや豚バラなどで代用できます。
アレンジ
- 鶏肉版: 豚肉の代わりに鶏もも肉を使っても美味しく作れます。
- 野菜の追加: お好みで玉ねぎやもやしを加えても良いですが、びっくり亭のスタイルはキャベツと肉が主役です。
- 辛さの調整: 豆板醤や一味唐辛子の量はお好みで調整してください。コチュジャンで代用するのも一つの方法です。


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