久富稲荷神社(ひさとみいなりじんじゃ)は、東京都世田谷区新町にある稲荷神社。
創建は不詳だが、400年程度の歴史があるとされる。
新町2丁目の南方、玉川通り付近に鎮座している。東急田園都市線が地下を通る旧大山通りからの長い参道や、昔境内に住み着いていたふくろうに由来するふくろうのお社などで知られる。


ご由来
ご祭神は、五穀豊穣の神様で、食物や穀物の神様である宇迦之御魂命(うかのみたまのみこと)、天照大神に侍女として仕えていた、宮殿の平安を守る女神である大宮女命(おおみやめのみこと)、天孫降臨の際に道案内をした神様で、道ひらきの神や旅の神でもある猿田彦命(さるたひこのみこと)、以上三柱になります。
創建の具体的な年代は不明ですが、江戸時代前期と考えられています。この地の五穀豊穣を祈念して、京都の伏見稲荷大社より勧請され、創建されたと考えられています。以来、この辺りの鎮守として鎮座しています。
昭和の初期頃には、社殿奥の木に梟(ふくろう)が住みつき、参拝の際にその姿を見かけたり、鳴き声を聞くことができると、願いが叶うと言われていたそうです。そんな逸話にちなみ、現在も境内にはふくろうのお社があります。
参道は長さが250メートルもあり、名物にもなっています。
現在の社殿は昭和41年に改築されたものとなります。
漫画『ぎんぎつね』に登場する冴木神社のモデルになった神社で、漫画の発行元である集英社から御朱印が奉納されています。
五穀豊穣、商売繁盛、芸道上達、厄除、交通安全にご利益があるとされ、厚く信仰されている神社です。
新町稲荷神社とも称されています。
宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)
「お稲荷さん」と親しまれている稲荷大神は日本人に最も身近な神さまで、殖産興業、開運招福、火防(ひぶせ)の守護神として、広大無辺のご神徳を慕って多くの人々に崇敬されています。
「イナリ」の語源については諸説があり、「イナリ」は「イネナリ(稲成、稲生り)」で、稲が育つさまを表しているとも、「イネカリ(稲刈)」の「刈」が「荷」に誤られたとも、また「イナニ(稲荷)」が「イナリ」に転訛したとも言われています。稲荷大神はご神名を宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)と称し、「ウカ」とは「貴い食物」を意味します。つまり宇迦之御魂神とは、「稲に宿る神秘的な精霊」を表し、五穀をはじめ一切の食物を司る神さま、生命の根源を司る「いのち」の根の神さまです。
宇迦之御魂神は須佐之男神(すさのおのかみ)と神大市比売神(かむおおいちひめのかみ)との間に生まれた神さまで、倉稲魂神とも書きます。兄神には「大年神」がいらっしゃいます。父の須佐之男神は天照大神の弟神として有名ですが、母の神大市比売神はご神名に「市」をもたれるように「市場」や「流通」の神さまで、兄神の大年神は「大年(おおとし)」すなわち「大稲(おおとし)」の神さまで、私たちがお正月に「年神さまを迎える」という時の「年神さま」に当たります。
宇迦之御魂神は、「古事記」の大気津比売神(おおげつひめのかみ)や「日本書紀」の保食神(うけもちのかみ)と同神で、いずれも五穀の起源の神さまとして記されています。
以上のことから分かりますように、宇迦之御魂神は御自身が食物を司る神さまであるとともに、一族に流通や稲に関わる神を持つ、人間の生活にとって根源的な役割を司る神さまであられるわけです。
食物の神、農業の神として崇敬された宇迦之御魂神は、民間の工業や商業が盛んになりますと広大無辺な御神徳を慕われて、殖産興業の神としての信仰が広がっていきます。近世になると農家ばかりでなく、商家、町家、大名にいたるまで稲荷大神への崇敬が広がり、ご分霊をいただいて屋敷神や家庭神、地域神としてお祀りする人々が増えていきました。
現在は、「家内安全」、「商売繁盛」の神様です。
大宮女命(おおみやめのみこと)
大宮女命(おおみやめのみこと)は巫女の元祖のような神様です。
はじめ、天岩戸に天照大神が籠もってしまわれた時、その前で舞を舞って、大神を外に出すのに重要な役割を果たされました。
また、天孫降臨の際は、邇邇芸命に付き従って地上に降りていき、その途中、不審な人物を見つけると、諸神が恐れる中、その神に「お前は何物か」と聞きに行きました。これは実は天孫の道案内をしようと待っていた、猿田彦大神で、これが縁で、のちに天宇受売神と猿田彦大神は結婚することになります。
民間伝承では、二人は道祖神になったと伝えられており、各地の道祖神をお祭りするところで、この天宇受売神と猿田彦大神をお祭りしています。
また、この天宇受売神の子孫は、猿田彦の「猿」を取って「猿女の君(さるめのきみ)」と呼ばれ、宮中で楽を奏し舞を舞う仕事をしていました。それ故に、天宇受売神は芸能の守護神ともされる。
この天宇受売神や、猿田彦大神というのは、本来は太陽神なのではないかとも言われます。それ故、天宇受売神は、天照大神が隠れている時、その代わりのように岩戸の前で舞い、また猿田彦大神も太陽神で、まぶしくて誰も近寄れなかったのを、同じ太陽神である天宇受売神だけは近寄ることができたのではないか、という論議があります。
現在は「芸道」、「家庭円満」、「厄除」の神様です
猿田彦神(さるたひこのみこと)
さるたひこのかみ 天孫降臨(てんそうこうりん)のとき、皇孫迩々芸命(ににぎのみこと)を案内した時の神様。鼻は長く、背は高く、口は輝き、目は八咫鏡(やたのかがみ)のようにてりかがやいていたと言う。この神に睨まれたら「目勝(まが)ツ神」は無いと言われる程、偉丈夫(いふう)堂々たる御姿で、神通力の強い力の神様です。その高徳により、「導きの神」、「道開きの神」として困った時や物事の始めに、災厄を祓い幸運をもたらす大神としても高名です。そして、「方位を司る大地の守護神」、「導き」「道開き」と「祓い」の大神様です。 現在は、「交通安全」の神様です。
ふくろうの由来

昭和の中頃、当神社の境内にあった古木にふくろうが住み着いていました。夜つになると暗い境内にふくろうの声が聞こえ姿を確認することはなかななできませんでした。参拝の際にフクロウの姿や、鳴き声を聞くと「願いが叶った」という噂がありました。そんなこ゚縁から、ふくろうのお社をお作りました。
御守りとしての梟ふくろうの伝われ

- 知恵袋で学問の神様
- 梟は長寿な鳥、不老長寿で長生きができる
- 「不苦労」と書いて「苦労知らず」
- 首が三百六十度回ることから商売繁盛
- 「福籠」とかいて「福が籠る」縁起が良い鳥
- 梟は作った家庭を一生涯守るから夫婦円満
アクセス
名称 | 久富稲荷神社 |
読み方 | ひさとみいなりじんじゃ |
通称 | 新町稲荷神社 |
住所 | 東京都世田谷区新町2-17-1 |
参拝時間 | ご参拝は24時間 |
社務所 | 午前9時~午後4時迄 |
電話番号 | 03-3425-9871 |
最寄り駅 | 東急田園都市線 「桜新町駅」から徒歩10分 |
ホームページ | http://hisatomi-inari.com |
ご祭神 | 《主》宇迦之御魂命 ,猿田彦命,大宮女命 |
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