日本に数多く存在する神社の中でも、特に長い歴史を持つ「日本最古」とされる神社を巡る旅は、単なる観光に留まらず、私たちのルーツや精神性に触れる貴重な体験となります。本記事では、多忙なビジネスマンの方々にもおすすめしたい、歴史と神秘に満ちた10の古社を、それぞれの由緒や伝説、見どころを交えながら詳しくご紹介します。日本の深い歴史と文化を感じ、日々の生活に新たな視点や心の安寧を見出すきっかけとしてください。
1. 大神神社(おおみわじんじゃ)

奈良県桜井市に鎮座する大神神社は、奈良県で最古の神社とされ、その最も大きな特徴は、背後にそびえる三輪山そのものをご神体としている点です。
主祭神は大物主大神で、『古事記』には大物主大神と活玉依姫(いくたよりひめ)のロマンチックな恋物語が語り継がれています。
かつては三輪山の一部が禁足地とされ、入山が制限される時期もありましたが、現在では一般の参拝者も入山できるようになり、スピリチュアルな聖地としても人気を集めています。
2. 伊勢神宮(いせじんぐう)

三重県伊勢市に位置する伊勢神宮は、正式名称を単に「神宮」と呼び、「お伊勢さん」の愛称で広く親しまれています。
主祭神である天照大御神は皇室の祖神とされ、元々は皇室の神を祀る特別な場所として、一般人の参拝は禁じられていました。しかし、戦国時代の武将たちが戦勝祈願のために参拝を始めたことをきっかけに、参拝の門戸が広がり、江戸時代後半には庶民の間で「おかげ参り」という一大ブームを巻き起こすほどになりました。日本を平和に導いたとされる三種の神器の一つ「八咫の鏡(やたのかがみ)」が蔵されていることでも知られています。
3. 大和神社(おおやまとじんじゃ)
奈良県天理市に鎮座する大和神社は、奈良県の旧国名である「大和国」の由来となったとされる、非常に由緒正しい神社です。
創建時期は672年または692年と諸説ありますが、その歴史の深さから日本最古の神社の一つに数えられています。
特筆すべきは、旧日本海軍の戦艦大和に分霊が守護神として祀られていたという歴史的な関係です。戦艦大和の戦没者2736名の英霊が境内のソ者(壮健)に祀られており、国家安泰をはじめ、家内安全、学業成就、交通安全、厄除け、災難除けなど、多岐にわたるご利益があることで知られています。
度重なる火災や移転の歴史を持ちながらも現代に残り続けているのは、英霊たちの存在によるものだと語られています。
4. 諏訪大社(すわたいしゃ)

全国に約2万5千社もの諏訪神社がある中で、その総本社である諏訪大社は、長野県諏訪市、茅野市、諏訪郡下諏訪町などに鎮座する2社4宮で構成されています。
『古事記』の国譲り神話において、国譲りに反対した建御名方神(たけみなかたのかみ)がこの地で国を築いたのが始まりとされています。諏訪大社の最大の特徴であり、見どころの一つが、7年に一度、寅と申の年に執り行われる「御柱祭(おんばしらさい)」です。
樹齢200年を超えるモミの木を新たな御柱として山から運び出し、社殿の四隅に立て替えるこの祭りは、1000年以上の歴史を持ち、その勇壮な姿は国内外から多くの見物客を惹きつけます。
5. 花窟神社(はなのいわやじんじゃ)
三重県熊野市に位置する花窟神社は、2004年に世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として登録された、古代から熊野信仰の中心地です。
『日本書紀』の国生み神話において、火の神・カグツチ(迦具土)を産んで亡くなったイザナミ(伊邪那美)が埋葬された場所と伝えられています。その名は、埋葬時に花が手向けられたことに由来するとされています。毎年行われる「お縄掛神事(おなわがけしんじ)」では、特別に作られた餅米の藁縄(約170mの大縄)に季節の花を結びつけ、これを吊るし海岸へと引っ張ることで、船の転覆などを防ぐと伝えられるユニークな神事が行われます。
6. 丹生川上神社(にうかわかみじんじゃ)
奈良県吉野郡川上村(上社)、下市町(下社)、東吉野村(中社)の三社が存在する丹生川上神社は、天武天皇の時代、675年に創建された記録が残ります。《画像:8:00》特筆すべきは、大ダム建設に伴う発掘調査で、平安時代以前の祭壇跡や縄文時代の祭祀施設が出土したことです。この発見により、神社そのものの建立よりはるか以前の縄文時代から、この地が聖地として祭祀が行われていた可能性が示唆され、日本の祭祀のルーツを考える上で非常に重要な場所とされています。
現在も、この三社のうち「本社」がどこであったかという謎が残されており、その神秘性が人々を惹きつけています。
7. 宇治上神社(うじかみじんじゃ)
京都府京都市に位置する宇治上神社は、創建時期は不明ながら、現存する本殿は1060年頃に建立されたと考えられています。
醍醐天皇が平等院を訪れた際に隣接する神社と共に「九明神」と名付けたと伝えられ、境内には宇治七名水の中で唯一現存する「桐原水(きりはらみず)」が湧き出しています。
祀られている宇治の若き郎子(うじのわきいらつこ)にまつわる伝説は、皇位継承を巡るドロドロとした人間関係の噂が混じり、「怖い」と感じる参拝者もいるとされますが、それもまたこの神社の奥深さを物語っています。
8. 伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)

兵庫県淡路島に鎮座する伊弉諾神宮は、日本神話で最初に国を生み出したとされるイザナギ(伊弉諾尊)が鎮まった地として知られています。
国生みという壮大な偉業を成し遂げた神の力が宿るとされるこの場所は、強力なパワースポットとして絶大な人気を誇ります。スピリチュアル界隈では「ゼロ磁場」とも称され、訪れるだけで体が温かくなったり、肩こりや腰痛が緩和されたりするといった体験談も聞かれます。全国の神社の中心を示す「日の道しるべ」も境内にあり、その特別な地位を象徴しています。
9. 加茂神社(かもすじんじゃ)
島根県松江市にある加茂神社は、「高床式倉庫」から発展した「大社造り」という特殊な建築様式を採用した神社の中で、最も古いものの一つです。現在の神社建築様式が確立する以前の姿を今に伝える貴重な存在として、1952年には国宝に指定されています。
社伝によれば、アメノホヒ(天之菩卑命)が創建したとされますが、文献に記載が少ないことから、元々は出雲の国造家が私的に祖先を祀っていた可能性も指摘されています。参道の大きな木々が日中でも光を遮り、独特の雰囲気を醸し出していますが、その歴史的価値と神秘性から多くの参拝者が訪れる人気の神社です。
10. 人大己貴神社(おおなむちじんじゃ)
福岡県朝倉市にある人大己貴神社は、神功皇后が新羅討伐の兵士を集めるために太刀・矛を奉納し願いを立てた、戦勝を祈願したという言い伝えがある古社。
「福岡県筑前町弥永の大己貴神社付近」と「奈良県桜井市三輪の大神神社(おおみわじんじゃ)付近」の地名や地形も偶然とは思えないほど酷似しております。
まとめ
日本最古とされるこれらの神社は、単なる歴史的建造物ではなく、それぞれが日本の神話、文化、そして人々の信仰を色濃く反映した場所です。これらの古社を巡ることは、日本のルーツを探求し、現代に生きる私たちに新たな視点と心の安寧をもたらしてくれるでしょう。歴史的な神秘に触れる旅を通じて、心身ともにリフレッシュし、明日への活力を得てみてはいかがでしょうか。


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