イーロン・マスク氏が主導する政府効率化省(DOGE)とは?

雑学

官僚機構というスタートアップ企業の対極にある世界に、スタートアップ式のスピード経営と強権的トップダウンを導入した先に何が待っているのか、非常に興味深く観察を続けています。私の見立てでは、イーロン・マスク氏の手法は大阪維新の会の手法と極めて近似しており、以下のような危険な帰結を招く可能性が懸念されます。国家レベルでこれを実行している点から、アメリカ衰退の歴史的転換点にあると考えられますが、イノベーションの受け皿と開拓精神もあり、もしかすると無駄を削減して超大国への復活もあり得ること思わせるのは日本との大きな違いです。

ただし大阪維新の会との決定的な違いは、利権構造にあります。同会は、そもそも本当にコロナワクチンの開発を行っていたのか不明なアンジェスに75億円(大阪府分10億円?)を投入して株価を釣り上げただけで(公的資金が入るのが分かっていれば株価は確実に値上がりするので売り抜けた人もいる思われます)終息させたり、太陽光発電事業で中国企業を優遇したり、大阪万博がいつの間にか「日本万博」と言い換えられる中で責任逃れをしつつ、万博の名の下にカジノ推進のためになりふり構わず税金を使いまく地下鉄延伸をはじめとしてインフラ投資を行うなど、明確な利益誘導構造を有しています。このような事例はマスク氏の手法には見られない点です。

  1. 「合理化」の名の下に行われる破壊的再編
    • 議員定数削減(大阪市議会:90→79→68人)の結果、政策知識不足の議員が増殖
    • 公務員削減(大阪市職員数10年間で8%減)
    • 医療崩壊を加速
      →COVID-19死亡率全国ワースト
  2. 不可逆的なシステム崩壊リスク
    • 統廃合された病院や教育施設は復元不可能
    • 離職した有能職員の流出は組織記憶の喪失を招く
  3. AI活用の落とし穴
    • 数値化できない公共サービスの本質的価値を見落とす危険性
      例:地域コミュニティの維持機能
    • 機械的効率化が公務員の士気を低下させる悪循環
  4. 国家レベル実験の危うさ
    • 地方自治体の失敗(大阪モデル)を全国展開する愚かさ
    • 「修正可能」という楽観が組織のレジリエンスを過信

この改革の最大の盲点は、人間の「心」を無視している点にあります。官僚組織の持つ暗黙知や人的ネットワークは、デジタル化可能な業務プロセス以上の価値を生んでいました。大阪で証明されたように、一度破壊された公共サービスの生態系は、たとえAIで最適化したとしても、元の健全な状態には戻らないのです。

政府効率化省(DOGE)とは?

トランプ氏は新機関「政府効率化省(DOGE)」の設立を発表し、マスク氏と実業家ビベック・ラマスワミ氏がこれを率いる予定です。この機関は政府の官僚主義や過剰な規制を削減し、支出を抑えることを目的としています。DOGEという名称はマスク氏が提案したもので、自身が支持する仮想通貨「ドージコイン」に由来します。トランプ氏は、2026年7月4日までにこの機関を解散する予定です。

DOGEは諮問機関としての役割を担い、1972年の連邦諮問委員会法(FACA)に基づいて設立される見込みです。マスク氏は、ツイッター(現X)の買収後、大胆なリストラを行い従業員を80%削減した実績があり、政府の無駄を批判してきた人物です。彼とラマスワミ氏は、連邦職員の在宅勤務制度を廃止し、週5日の出勤義務化を提案していますが、その強引な手法には批判が集まる可能性があります。

あぶり出された問題の一部

WinZipライセンスの無駄をあぶり出す

政府機関はしばしば、従業員数よりも多くのソフトウェアライセンスを保有しており、それらのライセンスがしばしば未使用のまま(つまり、支払い済みだが、どのコンピュータにもインストールされていない状態)になっています。例えば、13,000人の従業員を抱えるGSA(アメリカ一般調達局)では以下のような状況があります

  • WinZipライセンスが37,000個
  • トレーニングソフトウェアのサブスクリプションが19,000件(さらに複数のトレーニングソフトウェアプラットフォームが並行して存在)
  • 5,500人の従業員がいる部門に対して7,500席分のプロジェクト管理ソフトウェアのライセンス
  • 並行稼働している3つの異なるチケッティングシステム

150歳が社会保障給付を受けている

使用している言語で誕生日から年齢の計算のロジックに一部間違いがあるだけで根本的には問題ではないとの意見が多いですが、今後の経緯を注視してます。

死者に年金

すでに死亡している何千万人もの人々が、社会保障のシステム上では『生きている者』として登録されている。これは非常に大きな問題だ」と、マスクが発信した。「明白な話だ。彼らの一部は、アメリカの建国より前から生きていたことになる。このことを一瞬でも考えてみてほしい

スタートアップのように運営していいはずがない

政府機関の大規模な人員削減と側近人事による組織再編は、短期間で意思決定を効率化するという点では一定の合理性を持ちます。しかしこの手法は、以下の三重のリスクを内包しています。

  • 第一に「組織の記憶喪失」の問題
     行政機関が長年蓄積した政策ノウハウ・危機管理知見が、世代を超えた人員整理によって断絶する危険性があります。例えば2000年代の米国防総省では、イラク戦争後の大規模リストラにより中堅職員が大量離脱し、治安維持プログラムの継続性が失われる事態が発生しました。専門性の空洞化は、想定外の危機への対応力を著しく低下させます。
  • 第二に「権力の私物化」の構造的誘因
    特定政治家の意向に沿う者のみを登用する「側近支配」が常態化すれば、チェック・アンド・バランス機能が麻痺します。実際に2010年代のハンガリーでは、行政機関の約7割を与党支持者で再編した結果、汚職指数がOECD加盟国中最下位に転落しました。公平性の喪失は民主主義の根幹を揺るがします。
  • 第三に「社会契約の毀損」という本質的課題
    公務員の身分保障は「政治的中立性の維持」と引き換えに存在します。これを突き崩せば、公務員が時の権力者に従属するインセンティブが働き、制度そのものの正当性が問われる事態を招きます。日本では戦前の内務省解体が示すように、行政機構の急激な変容は国家の存続基盤さえ脅かし得るのです。

こうした視座から見れば、現在進められている改革は「スピード」と「効率」の名の下に、民主主義の安全装置を次々と解除する作業と言えます。真の行政改革とは、人員削減よりも「政策評価サイクルの高度化」や「デジタルガバナンスの構築」にこそ本質があるのではないでしょうか。歴史が教えるのは、権力集中型の「ショック療法」がもたらすものは一時的な成果ではなく、長期的な制度疲弊だという厳然たる事実です。

行政経験の若手エンジニアがシステム開発

19歳から24歳のエンジニア集団が、マスクの米国連邦政府での基盤固めに重要な役割を果たしている。多くがマスクの関連企業での勤務経験はあるが、司法や行政関連の専門知識に乏しく、セキュリティ・クリアランスへの懸念も高まっている。

DOGEコイン

トランプ次期米大統領は2024年12月12日、第2期政権で新設される「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」のトップにイーロン・マスクとビベック・ラマスワミを起用すると発表した。

この人事は仮想通貨市場にも波及し、マスク氏が以前から支持する仮想通貨DOGEコインは、13日時点で前日比40%上昇している。

参考

アンジェス(株)【4563】:株価・株式情報 - Yahoo!ファイナンス
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Work | DOGE: Department of Government Efficiency.

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