メトホルミンは、医師の指示に従って服用してください。副作用や気になる症状が現れた場合は、医師に相談してください。
2型糖尿病(T2DM)は、世界的に罹患者数が増加し続けている主要な健康問題である。その治療において、メトホルミンは基盤となる薬剤として広く認識されている。ビグアナイド系に分類されるこの薬剤は、半世紀以上にわたる長い歴史を持ち、その有効性と安全性、さらには多面的な作用機序に関する理解が深まるにつれて、世界中で最も広く処方される経口血糖降下薬の一つとなった。
メトホルミンの歴史
メトホルミンは、1920年代に発見されたビグアナイド系化合物の一つです。1950年代から糖尿病治療薬として使用され始め、現在では世界中で広く使用されています。
メリット
- 肝臓での糖新生を抑制し、インスリン抵抗性を改善することで、血糖値を効果的に下げます。
- 他の糖尿病治療薬と比べて、体重増加のリスクが低いとされています。
- 一部の研究では、心血管疾患のリスクを低減する可能性が示唆されています。
- 比較的安価な薬であり、経済的な負担が少ないです。
- 近年では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療や、がんの予防など、糖尿病以外の疾患にも使用されることがあります。
デメリット
- 下痢、吐き気、腹痛などの消化器症状が出やすいです。
- まれに乳酸アシドーシスという重篤な副作用を引き起こすことがあります。
- 長期服用により、ビタミンB12欠乏のリスクが高まることがあります。
- 腎機能が低下している患者では、薬の排泄が遅れ、副作用のリスクが高まる可能性があります。
- 利尿剤・造影剤との併用で乳酸アシドーシスリスク増加する。
→ 造影剤が必要となるときは忘れずに伝えましょう。
メトホルミンの薬害
メトホルミンによる重大な薬害として、乳酸アシドーシスが挙げられます。乳酸アシドーシスは、血液中の乳酸濃度が異常に上昇する状態で、適切な処置が遅れると死に至ることもあります。腎機能障害のある患者や、脱水状態の患者は、特にリスクが高いとされています。
長期服用のリスク
- 長期服用により、ビタミンB12欠乏のリスクが高まることがあります。定期的なビタミンB12の測定と、必要に応じてビタミンB12の補充が必要になる場合があります。
- 長期服用により、腎機能が低下する可能性があります。定期的な腎機能の検査が必要になる場合があります。
糖尿病の予防薬として飲むことに関して
メトホルミンを予防薬として使用する場合は、医師の指導のもと、慎重に判断する必要があります。
メトホルミンは、糖尿病の発症リスクが高い人に対して、予防薬として使用されることがあります。ただし、予防効果は限定的であり、生活習慣の改善が最も重要です。
また心臓疾患やがんの発症リスクを抑える可能性があるため、予防薬としての使用が研究されています。
- 有効性:米国DPP研究でハイリスク肥満者の糖尿病発症率を18%減少(生活改善は34%)。
- 限界:
- 日本では適応外で推奨されず、生活改善が優先
- 体重減少効果は平均1kg程度と限定的
研究段階の注目ポイント
- マウス実験で寿命5%延長、ヒトでの抗酸化作用は研究が進行中
- 血糖降下作用の一部が腸内環境改善に関与している可能性が示唆されている
- 活性酸素抑制によるエイジングケアで美容効果の可能性(研究段階)
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